「宿命」は、如何ともし難い圧倒的な力をもって、人生を支配します。不自由と不条理に満ち、環境の奴隷のままに生きざるを得ない人生の悲しみ、切なさ──。
しかし、著者高橋佳子氏は訴えます。「人間はただ無力にその虚無に蝕まれ、宿命に支配されるだけのものではないのです。宿命という重力を受けているということは、逆にそれだけ常にその桎梏から解き放たれることを求める不屈の思念が一人ひとりの内に胚胎していることに他ならないからです」──。
本書には、このメッセージを証すように、宿命の闇を使命の光に転じた人々の人生が描かれている。未だ隠れたる本当の使命を探そうと願うお一人お一人への限りない励ましと希望を与えてくれる一冊。
内容の一節
不可能に見えた現実の中から、そこを脱するひとすじの白い道──奇蹟のように存在する最善の道を見出した人生は決して少なくありません。不自由きわまりない現実をもたらしていた宿命の中からその人だけに与えられた使命を掬い取って立ち上がる人生が次々に現われているのです。抗することのできない虚無の闇を浄化してゆく指導原理(宇宙の神理)がこの世界に実は確かに流れていることを、彼らは確信しています。
本書には、そうした人間の宿命と使命の物語が折り重なるように込められています。この11の物語は、これから自らの如何ともし難い宿命を出発点として未だ隠れた本当の使命を探そうとする人々に贈られた励ましの言葉です。(「あとがき」304~305頁)